シオミヤさんの試みについてとパンドラ。
漫画家のシオミヤイルカさんがKindleでオリジナルの本を出版されたそうです。
しかも紙の本は講談社から、Kindle版は個人で販売という離れ業。
【KDP最前線】紙のコミックスは講談社から。電子書籍はマンガ家個人で本日同時発売「原始乙女と神の塔」を執筆したシオミヤ イルカさんにインタビュー
この方式って、作家にとってはすごく合理的な気がしますね。
出版社を通していることで作品の品質はお墨付きですし。
電子書籍分のアガリを取られることなくお小遣いにできるわけでしょう?
いや実際、自分で電書売ったこともなければ出版社から本出したこともない人間が何を言ってるんだくらいに受け取ってもらればいいんですけど。
ほんで、こっからは全然違う話。
ぼくがシオミヤイルカさんという漫画家を知ったのはパンドラという文芸雑誌です。
シオミヤさんの描く「人間試験」は殺人鬼の話ということもありますが、精緻な線で描かれる人物たちの中んに狂気が宿っているのがありありと分かる、そんな漫画だったことを記憶しています。
当時のぼくはBOXをこじらせていて――という話は怨嗟しかなくなるのでやめよう! とにかくあんな分厚くて高い雑誌を少ないお小遣いから買っていた時期がありました。
どんな雑誌かというと……。
これ。
さんざん鈍器だのなんだのと呼ばれたHybrid!(vol.1)が「すぐ読めそう」と思わせられる辞書的な分厚さ。まあこんな雑誌が続くはずもなく、vol.4で休刊しました。
これを読んでるほとんどの人が知らないであろう、物語シリーズと思わせて全然ちがう西尾維新のセパタクロー小説「蹴語 シュウガタリ」が読めたのはパンドラだけなんですが……あれの続きどうなったの。
ちなみにこのあとBoxAirになって電書に進出してるんですよね。そちらでは百壁ネロ先生がデビューされていますが、もっと作家を大事にしてほしいですね。
おっと、毒にも薬にもならない記事を書くはずが毒にしかなってないぞ。
しかし今回の記事では講談社の有能な方がキンドライズを快くOKされたという非常に有能なエピソードが分かりましたので、それでかなり株が上がったんじゃないでしょうか。電子書籍のリスクを負いたくなかっただけかもしれませんが。
今後どうなるかは誰にも分かりませんが、個人で漫画を電子書籍として売れる流れがもっと増えるといいですよね。